春の足音

No.15 / 2008年2月21日配信

 地下鉄のホームに座り込んでいる高校生の姿を見なくなったのは、冬なので座ると尻が冷たいからなのかな? 最近ホームはもちろん電車の連結部に座り込む生徒もあまり見かけなくなりました。「良い子に見えること」がたまらなく嫌になる人生の若い一時期。経験的に理解は出来るけど、通行の障害になることがあるし、やはり社会的に見た目もよくありません。

 つり革につかまって文庫本を読んでいると、途中の駅でおばあさんが乗り込んできました。最近のお年寄りはけっこう元気な方が多くて、60代後半とおぼしき方でも座席を譲ろうとすると「けっこうですよ」と断られることもよくあります。この乗り込んで来たおばあさんも座席が必要かどうか、意見が分かれそうな雰囲気です。漫画を読んでいる人。ケータイメールで忙しい人。目をつぶっている人。誰も席を譲ろうとはしません。二人連れの女子高校生がスッと立ち上がり、おばあさんに席を譲りました。立ち上がった二人の女生徒は温かい足音を立てて3つ目の駅で降りていきました。その足音はまるで訪れる春の足音のようでした。

 若い世代も捨てたものじゃありません。座り込んでる大人を尻目に立ち上がる生徒達をよく見かけます。それは伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のお湯割りのような温かさ、春はもうすぐそこです。

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