桜の季節に
No.18 / 2008年3月21日配信
開花したソメイヨシノの花びらに目を凝らせば、頼りないほどのかすかなピンク。青空の中で、角度によっては白にさえ見える淡い桜色。その「支えてあげたくなるような頼りなさ」も、満開を迎える頃になると、堂々とした華やかな色合いに見えるようになるから不思議なものです。そうなると世の中が急に明るくなったようで、もうじっとなんかしていられなくなります。そして満開とともに訪れる、はらはらと散りゆく様は短命ゆえの「えもいえぬ」風情。季節の細やかな息づかい、自然の彩色。日本人で良かったと思える瞬間です。
源氏物語にも花の宴の記述があるといわれるくらい、古くから楽しまれて来た花見の宴。寒い冬をくぐり抜け、待ちに待った「桜の開花」に対するその当時の喜びは、現代の私たち以上のものがあったのかもしれません。酒がふるまわれたのはもちろん当然の成り行きでしょう。
北へ北へと足早に駆け上る桜前線が日本国中に届けてくれるのは、心の中から自然に湧き上がってくる「幸せな気分」です。それは、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のナチュラルな旨味がもたらす気分とまさに同じもの。今年はそんな幸せ気分を味わうために、愛用のスキットルに「幸蔵」を詰め、弁当を持って桜色に煙る小高い斜面を歩くつもりです。「一人で花見に行って楽しいのかしら?」と首を傾げる娘にはまだ分るはずはありません。花の命の短さも「幸蔵」との初めての野外デートに胸踊らせる男の気持ちも。