久しぶりの笑顔

No.31 / 2008年8月1日配信

 モクモクと白い入道雲。蝉時雨がどこまでも続く石段をのぼり、流れる汗を拭きながらの故郷のお墓参り。彼岸に帰省できないことが多く、良いか悪いかお墓参りは必ずお盆に済ませます。小さい頃、兄弟で競争して駆け上った長い石段を、今年も踏みしめる予定です。掃除を済ませて墓石に水をかけた後に訪れる、清々しい気持ちは何ともいえません。

 盆の里帰りの嬉しいところは、何と言っても久しぶりの笑顔に会えることです。兄弟だって遠距離のため、簡単には会えなくなってしまいました。久しぶりに会える喜びは、毎年、年輪の外径のように大きくなっていくのが分かります。そこで感じる不思議な安心感と温かさは格別です。

 小学生のときの盆の想い出は、ふすまを取り外した二部屋続きの広い居間に、いくつも連ねた大きな座卓。親類縁者の宴会です。卓上には精一杯のお盆の料理が乗っていました。それを取り巻くコップ片手の赤ら顔と大きな声。当時の厳しかった経済状態やそれを乗り越えた苦労話。縁側から吹き込む風が止み、扇風機の首を振る音が規則正しく響く午後。どうして大人はあんなによく喋るのだろうと、私はすぐに飽きて近所の小川へザリガニ獲りに出かけたものでした。

 盆には最近はほとんど食べることのなくなった「棒鱈の煮付け」が無性に食べたくなります。細く切った油揚と一緒に煮込んだ棒鱈は幼い頃の年中行事の美味しい思い出。さあ、久しぶりの笑顔に会える日がやってきます。今年は伝承かめ壷造り本格米焼酎「昔気質」も一緒に里帰りする予定なので楽しみです。

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