新聞少年

No.38 / 2008年10月11日配信

 少しの期間でしたが、小学6年生の時に夕刊の新聞配達をしていました。どうしても欲しい戦艦武蔵のプラモデルが欲しくてたまらなかったからです。母親に当時流行っていたプラモデルを買ってほしいなど、言えるような家庭環境にありませんでしたから、自分で調達するしかなかったのです。 雨降りの日、配達の途中で新聞の束を水溜まりの中に、思わず落としてしまったことがありました。今なら雨の日はポリ袋に入れて配達しているので問題はなかったかもしれませんが、当時は違いました。大切な新聞を濡らしてしまったので、配達も半泣きの状態です。精肉屋さんの女将さんに謝りながら、半分ほど濡れてしまった新聞を恐る恐る手渡しました。「なあに、大したことないじゃないの。毎日ご苦労さん、はい、これご褒美よ。食べていきなさい」と店頭揚げたてのコロッケをくれたのです。手渡されたアツアツのコロッケと女将さんの優しさに私は救われました。

 10月15日からの一週間が新聞週間だそうです。期間中は新聞に関する様々な催しが行われ、期間中の日曜日が「新聞配達の日」と定められています。その「新聞配達の日」は平成2年までは「新聞少年の日」と呼ばれていました。元・新聞少年は、ときどき商店街のアツアツコロッケを買いに出かけます。そんな日は伝承かめ壷造り本格米焼酎「昔気質」がコロッケのお相手です。理由を知っている連れ合いは、自分が作らなくても良いからなのか、毎回ニコニコしながらそのコロッケを頬張っています。

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