春告魚

No.52 / 2009年3月1日配信

「魚」偏に「春」と書けば「鰆(さわら)」で、味噌を使って漬け込んだ西京漬けが美味しくて有名です。柔らかな身を引き締め、サッパリとした味わいを活かした、日本人の知恵が見え隠れする加工技術に拍手です。焼きあがった皮と表面の香ばしさ。そして味噌の上品な旨味がたまりません。

 さて、その魚体が1メートルもある鰆と比べる事自体があまりにも可哀想な「春告魚のメバル」。大きくなっても20センチをいくらか超える程度のミニサイズ。まん丸に見開かれた目が特徴で、早春から私のようなへぼ釣り師の相手をしてくれる可愛いやつです。鰆と違って、スーパーの鮮魚売り場には置いていないこともある地味な魚なのです。

 少年時代、メバルの想い出は煮付けの味。当時の私にとって、あまり歓迎できなかったのが煮付け料理でした。恐らく誰でも少年の頃は「煮る」ことよりも「揚げる・焼く」のパリッとした食感の料理の方が好きだったと思いますが。それでも毎日続いた醤油色の食卓。子供の嗜好だけが反映される時代ではありませんでした。

 やっぱり大人にはなってみるものですね。すべては楽しみに変わってしまいました。早春の贈り物である蕗や筍と合わせた煮物ともなれば、もう顔中の筋肉も緩みっぱなし。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との相性は言うまでもありません。さあ、週末はメバルを売っている店を探しに行かなければ!

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