春はあけぼの

No.53 / 2009年3月11日配信

 清少納言は枕草子に「春は あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる」と、書きしるしました。この有名な先人が柔らかい感受性と本物を見抜く鋭い観察眼で、春は夜明けの時間が美しいのだと述べているので、それはきっとそうなのでしょう。

 しかし、「春眠、暁を覚えず」派の私には、あけぼのの様子など分かるわけがありません。そんな私にとっての美しい時間とは、夜明けの時間でないことだけは確かです。目覚ましベルとの最初の戦いに勝利してから、何度もうとうとする時間こそが美しい幸せの時。それはもう、夜明けからはかなり時間が経った明るい朝のことです。

 春に眠くてたまらないのは、気温や日照時間の変化に伴う、体内のメラトニンというホルモンの変化が原因ではないかといわれています。そういう自然な生命現象なのだから、春は寝過ごして遅刻してもいいや、とはならないところが社会を生きる私たちのつらいところ。いくら「春眠、暁を覚えず」でも、遅刻に結びつく寝過ごしは禁物ですね。

 明日の天気は朝から晴れの予報です。早起きは辛いけど、あけぼのの時間に挑戦してみようかな。早朝の空気は、清少納言の生きた時代のようにピュアじゃないだろうけど、朝日が希望なのは今も変わりはありません。よしっ。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をぐいと飲み干し、「今日は早く寝る」と連れ合いに告げました。「あら、どこか具合でも悪いの?」連れ合いが首を傾げています。

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