初夏の天ぷら
No.60 / 2009年5月21日配信
日差しが眩しい初夏を迎えると、なぜか天ぷらを食べたくなります。この時期、旬を誇り始める魚が「キス」です。キスを漢字で書けば「魚」偏に「喜」ということになりますが、印象深いので若い頃から覚えていたものです。中国では日本から逆輸入したその漢字「鱚」を使っているのだとか。冗談のような話を聞いたことがあります。
キスの白身はサッパリとした上品な味わいが、天ぷらネタとして重宝されます。薄めのパリっとした衣で包まれた、柔らかくてほくほくした身を思うだけで落ち着かなくなります。専門店の味にはかなわないかもしれませんが、鮮度の高い状態のものを我が家で揚げるのも悪くはありません。
最近は天つゆではなくて、お気に入りの天日海水塩を少しつけて頂いています。味わいに変化を持たせたい場合には、塩に抹茶を混ぜるだけで洒落た付け塩になります。抹茶の香りが初夏の風情を食卓に運んでくれるはずです。
日差しが傾いていく初夏の土曜日、夕刻。始まったばかりのプロ野球ナイター中継に見入っていると、「立派なそら豆だったので、買ってきてますよ」と妻の声。台所からは揚げ物の音が聞こえてきます。キスにそら豆の天ぷらか。粋な旬に心が躍り始めます。さあ、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の出番です。