カキフライ
No.78 / 2009年11月21日配信
「牡蠣」は日本では縄文時代から食用とされていて、殻が多くの貝塚からたくさん出ています。「海のミルク」と言われるほど栄養価の高い貝で、その食用としての実力は誰もが認めるところです。この時期の魚売り場では、ぷりぷりと乳白色の美味しそうな身がパックされて、鍋物用の魚の近くにしっかりと並んでいます。殻付きの牡蠣も登場し、冬の近さを感じます。
すべてに火を通して食べるヨーロッパで「牡蠣」は生食できる数少ない食品だそうです。私も生牡蠣にレモン汁をかけ、マスタードとほんの少しのケチャップで食べるのが大好きです。しかし、ご飯のおかずということを考えると、やっぱり「カキフライ」になってしまいます。一番人気の牡蠣料理といえば、日本ではカキフライになるのだそうです。
カキフライは日本で考案された「洋食」だといわれますが、それ以前に海外にそのような料理があったという話もあります。タルタルソース、ウスターソースやケチャップ、さらには醤油やポン酢での食べ方を見ると、もう洋食というより、むしろ手軽で美味しい「日本の料理」と言った方が正しいような気がします。いや、「お母さんの家庭料理」と言うほうが近いかもしれません。
台所では牡蠣がじゅーじゅーと油の中で音を立てています。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」も自分の出番をうかがっています。今夜のおかずはカキフライです。サクサクッとしたキツネ色の衣につるっとしてエキスがたっぷりの牡蠣の身。本当に絶妙な噛みごたえと柔らかい旨味を思うだけで興奮してきます。「あなた、ご飯ですよ」の声を待つ、土曜の夕刻。とても幸せな時間です。