のっこみ

No.90 / 2010年3月21日配信

「やった~、これは大きい。50センチクラスやね!」 1.5号のカーボンロッドを大きく曲げながら、友人にタモ網の準備を頼みました。リールを巻く手にいつも以上の力が入ります。久しぶりの大物です。失敗は許されません。そして、いつもより慎重に寄せて、黒みを帯びながら銀色に輝く魚体を取り込みます。「へへッ、サイズを測ってみよう!」

 魚の口先から尾びれの先端までの長さを巻き尺で測りました。目測通り50センチはありそうです。これまで、私の仲間うちでは、まだ50センチ越えを記録したものはいません。「50センチ越え」は大きな目標であり、その達成は私達(へたな釣り師仲間)の中での輝かしいステータスになります。巻き尺を持ち、しゃがみ込む私を、周りから仲間が息を飲んで覗き込みます。

 微妙なサイズです。50センチにほんの数ミリほど足りないような。いや、尾びれをもっと引っ張れば、50センチと言ってもおかしくないような難しい判断に迫られています。う~ん、どうしよう。私は無念さをかみ殺しながら「49.5センチだね」と意を決して告げました。記録を破られなかった安堵感が周囲に漂います。「フフッ、残念だったね」と会社の同期入社の友達がニヤリ。

 春になると、黒鯛(チヌ)が産卵の為に海岸沿いに寄ってきます。年間を通じても大型が釣れる時期で、釣り用語で「のっこみ」と言われる時期です。卵を抱えたものや精巣をパンパンに膨らませたものが多いので、釣り過ぎはいけませんが、釣りとしては本当に楽しい時期。黒鯛の刺身と釣行の楽しい話題に花を咲かせながら仲間と飲む、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の旨いこと。これがあるので明日も元気に働けそうです。

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