鯵の干物

No.93 / 2010年4月21日配信

 最近、同じマンションに住む方から、20センチ強の少し小振りな「鯵」を10尾ほどいただきました。狙いの魚が釣れなかったので、鯵でもという感じで釣ってきたそうです。もう少し大きければ刺身にできるのに、もう少し小さければ南蛮漬けが美味しいのに、とけっこう中途半端なサイズです。煮付け、塩焼きにも貫禄不足。たたきにすれば良いのだろうけど、何か気乗りがしません。

 そうだ!私は干し網を持っていたんだ。「鯵の干物」にすれば良いのです。へぼだけども、一応私も釣り師の端くれ。切れ味鋭い刺身包丁だって自前のものを持っているのです。内蔵、えらを取り、きれいに水洗いをした後で開きにしていきます。ふと、足下に生き物の気配。我が家の猫が顔をすりすりしてくるではありませんか。

「お前がいたことを忘れていたよ、ごめん」と一尾だけは塩水の中に漬けずに、たたき状態の刺身にしてあげました。しかし、ドライフードだけで育っているので、前に飼っていた猫のようには刺身を見ても喜びません。「おいおい、せっかくお前の為に一尾つぶしたのに、その態度はないだろ、えっ」。すると、 主人の気持ちを逆なでするように、2、3度ペロペロ舐めた後「ケッ、青魚やないか」と捨てゼリフをはいて(私にはそのように見えた)隣の部屋に。

 小遣いをせびる為に、昨日私に手をすりあわせてきた娘に至っては、今日はもう感謝の気持ちもどこへやら。ベランダに干している我が鯵の一夜干しに「やめて欲しいわ、服に臭いが付くじゃない」と、ぶつぶつ。「本当ね、洗濯物が少し臭うわね」と我が連れ合いも否定的。今夜は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」に愚痴を聞いてもらわねばなりません。「おまえら、みんないい加減にせーよ! 絶対にやらんからな~」

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