畳に座って

No.108 / 2010年9月21日配信

 昔の十五夜の時期はもう少し涼しく、そして年によっては、それ以上にひやっと風が冷たい夜もあったような気がします。幼い頃の曖昧な記憶ではあるけど、近年の9月の気温に比べれば、間違いなく低かったはずです。そんな気持ちのよい夜、縁側にススキや団子を飾った風流を、幼心に畳の部屋から眺めながら味わったものでした。

 私の今の住環境では、畳の部屋にごろんと横になって、「丸い月を愛でる気持ちの良さ」など味わえるはずはありません。かろうじて一つだけある畳の部屋は月の見えない北向きです。普通、そこまで考えてマンションを選択するわけはありませんね。「畳って嫌いじゃないけど、そんなにいいかなぁ?」と娘が、畳の部屋を愛する私を不思議がります。

 今年は十五夜が9月22日、そして2日後の24日が「畳の日」。「丸い月」プラス「畳」のイメージは、私が幼い頃から大好きだったイメージです。もちろん大人になってからはそれに酒がプラスされます。キチンと畳みにあぐらをかいて、清々しイ草の匂い中で伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を楽しみながらの月見が「夢」になりました。

 年間の「畳表の需要」は平成6年度を100とすれば、平成20年度の指数は38というところだそうです。畳の需要は毎年落ちてきて、私のような「畳党」を限りなくさびしくさせます。よし、私も男だ。月が見える南向きの居間を、思い切って畳の部屋に改装しようかな?「馬鹿なこといわないでくださいよ、家計もけっこう大変なんだから」と、家人の現実的な声がすぐに私の夢を砕いてしまいます。

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