雨水(うすい)
No.123 / 2011年2月21日配信
大寒から約一ヶ月、今年は2月の19日が「雨水(うすい)」です。つい、あまみずと読んでしまいそうな「雨水」ですが、「立春」等と同じ二十四節気のひとつで、空からは雪ではなく雨水が降り注ぎ、寒かった冬に終わりを感じさせる日だそうです。私たちの祖先も、この雨で春が近いことを感じて農耕の用意をはじめたといいます。
そして、この時期憂鬱なのが今年は特に盛んに飛散している「スギ花粉」。重い症状ではないものの、鼻と目に影響が現れ、集中力が落ちてしまいます。おまけに偏西風によって大陸から運ばれてくる「黄砂」も春が一番の出現率。飛来するたびに車を真っ白に被い、嫌になります。「スギ花粉」も「黄砂」も「雨水」のようにロマンチックではありません。
「以前、おばあさんから教えてもらったんだけど、雨水の日にひな人形を飾ると良いんだって」と家人が言いながら、大きな箱を押し入れから出しています。「何に良いの?」と訊ねると、「良縁に恵まれるらしいの」「ふふっ、そうだろ、見事な良縁に恵まれたじゃないか。ダイヤモンド級の相手に!」「えっ、それ誰のこと?」と家人はとぼけてみせます。
冬に終わりを告げるような雨がひとしきり降った後、耳を澄ますと春の足音が聞こえてきそうです。この冬の降雪の記憶を数えながら、新しい伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の栓を抜きます。おかげでこの数年の中では、一番お湯割りの温かみが心に身体に染みた冬でした。さあ、もうすぐひな祭り。すでに私の心は今年も「蛤の潮汁」への期待でいっぱいになっています。