立 夏

No.130 / 2011年5月1日配信

 毎年、5月5日か6日が立夏です。今年の立夏は5月6日で、暦の上ではその日から立秋(今年は8月8日)の前日までが「夏」なのですが、暮らしの中の皮膚感覚とは季節感が大きく異なり、それが面白いところ。まあ、5月が初夏というのは納得できても、8月9日以降のことを初秋とは呼びにくいものがあります。地球温暖化が後押している酷暑の真っ最中だからです。

ともあれ、この毎年こどもの日近辺に訪れる「立夏」は「リッカ」という軽快な響きと「夏が立つ」という比喩の表現を気に入っているし、私の好きな季節のひとつでもあります。今年もまた爽やかな五月の風に誘われて出かける夕刻の散歩。引き潮の河口で、黄色みを帯びた逆光が潮干狩り家族の姿をシルエットを変えています。

 さっそく私は携帯電話に手を伸ばし、家人に「今夜はアサリの幸蔵蒸しだ」と告げ、お好みのスーパーに立ち寄ります。アサリの売り場につく前に、美味しそうなアスパラガスが目に飛び込み、焼アスパラガスもいいなと独り言。アサリ・パセリと一緒にアスパラガスとレモンを買い込み、ルンルン気分で家路につきます。

 「わたし、お父さんみたいな男性がいいかも。料理ができるし」と娘が持ち上げます。「料理がじゃなくて『も』、だろ?」「えっ、お父さん、他に何かある?」と私に聞き返します。そう聞かれると悔しいけれど即答に窮します。「いいじゃないか、人間それが一番なんだよ!」と、アサリの幸蔵蒸しをパクリ。そして伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をゴクリ。

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