ステテコ・スーパークールビズ
No.136 / 2011年7月1日配信
電力不足の夏を迎え、「節電」という言葉が聞こえて来ない日はありません。オフィスの室温28度、ノーネクタイにチノパンです。家でも出来るだけ扇風機を利用しようと、最近前向きに一台購入しました。扇風機売り場では、もう売り切れてしまった機種もあるそうで、私のように動きが遅い人間には機種の選択肢もそう多くはありません。
面白いのは扇子やステテコが飛ぶように売れているということです。扇子はともかく、驚くのはあの天才バカボンのパパがいつもはいていた「ステテコ」が売れているということ。サラサラなのでズボン下にも使えるという「ドライ」なメッシュのステテコはチェックやボーダー柄で、昔のステテコからはイメージも大きく駆け離れています。
私の父は路地の脇に置いてある、少しぐらつく古い縁台に座り、近所の顔見知りと将棋を楽しむのが好きでした。ツバメが路地に沿って低く滑空し、軒先の巣に戻っています。そんな夕暮れ時、蚊取り線香代わりだとか言いながら、みんなで両切りのタバコをぷかぷか。なぜか父達はみんな揃って、バカボンのパパのように白い木綿のステテコをはいていました。
ぱちんと駒が盤面を打つ音が響き、近所の台所からは魚を焼く匂いが漂ってきます。エアコンの無い時代の夕刻、晩ご飯が近づく大好きな時間。父のいる風景の中に、私は「ご飯が出来たました」と母の言葉を伝えに走ります。昔からの変わらぬ造り方から生まれる伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲みながら「涼」を考えています。今年、扇風機の次はステテコも買おうかな?