一杯のうどん

No.155 / 2012年1月11日配信

 家族が出払った日曜日の昼時、一人残された私は台所に向います。「うどんとかラーメンとかも買ってあるので、好きなものを食べといて」と言い残して、家人と娘は外出しました。「あなたは一緒に行っても楽しくないだろうから」と、私抜きのショッピングが常態化しています。

 松の内が終わったものの、おせち料理から新年宴会料理と続いたご馳走に、胃の方も若干お疲れ気味です。冷蔵庫の中を眺めて見ると、うどんの玉が入っています。やっぱりうどんかな~。しかし、ただのうどんだけではモノ足りません。ネギもあるし、鶏のささみもあります。カレー粉、片栗粉もストック棚にありました。よし、カレーうどんダッ!

 20年以上前に、「一杯のかけそば」という話が国会で話題をさらい、映画にもなりました。父親を亡くした母子3人が、かつて父親が好きだった蕎麦屋に現れ、一杯のかけそばを3人で分け合って食べようと注文します。見かねた店の主人が1.5人分の蕎麦を出し、それ以後、毎年大晦日には親子は顔を出すようになっていくという心温まるストーリーです。

 一方で私の作る「一杯のうどん」は涙こそ誘いませんが、家族に見放されそうになりながらも、健気に生きるグルメな男の物語。スープはアツアツ、辛口香辛料が香る本格カレーうどんが出来ました。最高です!これこそ家人には作れない本物の男料理。日は高いので、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』が欲しいところですが、日が高いので、ここは我慢です。ショッピングに夢中の2人はこんなグルメな父の姿を知る由もありません。

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