もつ鍋

No.157 / 2012年2月1日配信

 五木寛之が書いた大河小説「青春の門」に出てくる筑豊地方。石炭で日本の産業振興をになった歴史のある北部九州の地域です。最近では、山本作兵衛の炭鉱記録画がユネスコの世界記憶遺産に登録されるなど、当時の筑豊の炭坑生活にもスポットがあたり始めたようです。その炭坑労働が生み出した産物に「お菓子」と「ホルモン料理」がありました。

 厳しい労働後に必要なエネルギー源になる「甘いお菓子」とともに、スタミナ食として人気のあったホルモン料理は今も地域に愛されるB級グルメ料理として食べ続けられています。私が幼い頃住んでいた筑豊地方では、そのホルモン料理は「とんちゃん」と呼ばれていました。私が不気味だと思っていたホルモンを旨そうに口に運ぶ父親が信じられずにいたものです。

 そして現在。あのホルモン料理の気味悪さはどこへやら。寒い季節の鍋料理はやっぱり「もつ鍋」が一番などと、いつの間にか人に勧めるようになってしまいました。ニラやキャベツとともに口に広がるもつの旨味はもう最高。今や博多の名物になってしまった「もつ鍋」ですが、醤油味・味噌味・ポン酢味と、味をいろいろ楽しめるところも高評価が得られるポイントです。

 「やっぱりお父さんもおじいちゃんの遺伝子を引き継いでいるのね」ともつ鍋を食べている私に娘が話しかけます。「おじいちゃんはホルモンと焼酎が一番好きだって言ってたし。ホルモンって、もつのことでしょ?」「ということは、いつかお前も『もつと焼酎の晩酌』が大好きな女になってしまうかもな」。幸せな会話です。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』のお湯割りがおいしい夜。

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