イモの親子

No.181 / 2012年10月1日配信

 我が家の女性達は「ワァ~、このお菓子美味しそう!」「もう、たまらないわね」とテレビのスィーツ番組にのめり込んでいます。食欲の秋、天高く馬肥ゆる秋(少し、古いかな)を迎え、旬の芋や栗を使った美味しそうな洋菓子や和菓子が街のショーウィンドウを飾っています。その甘そうに可愛らしく仕上がってるお菓子を見たら、さすがの私も左党の強がりを砕かれてしまいそうです。

 先日も家人が栗のモンブランではなくて、さつまいもを使ったモンブランを買ってきました。娘は大喜びで「私、コーヒー入れるわね」とお湯を沸かし始めます。休日の昼下がり、ひっくり返って本を読んでいる私の鼻孔に、キリマンジャロの豊かな香りが流れこみます。ここはひとまず、やむを得ずということで、男の威厳を捨てて、甘党にヘンシンしなくてはなりません。

 さつまいもの収穫量は南九州が圧倒的で、日本全体の約半数を誇るそうです。そして、なんといっても南九州はいも焼酎の本場。そういえば今年も、南国の太陽が降り注ぐ大地で採れたさつまいもから、新しい焼酎が誕生する時季です。モンブランの甘さに骨の髄まで占領されてしまっている家人たちと違い、私だけはスィーツを食べながらもきりっと冷静、渋く焼酎蔵に想いを馳せます。

 「モンブランも良いけど、今度は焼き芋を作ってくれ」と家人にリクエストをしました。「お父さん、それで『幸蔵』飲むんでしょ」と、横から娘がはやし立てます。「へ~、焼き芋と芋焼酎ね、ひょっとしたら合うかもね」と家人が応えます。「芋が親で焼酎が子供だから、親子飲みって言うんだって」「えっ、お前、未成年なのになんでそんなこと知ってんだ?」

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