ファスト・フィッシュ
No.195 / 2013年2月21日配信
日本人の「魚離れ」が進んでいるようです。厚生労働省のデータによると、2011年の魚介類摂取量は近年のピーク(1997年)より、2割も減っています。それに伴ってなのか、九州の漁獲量も減少しているそうです。無類の「魚好き」としては大変残念です。どうして、あんなに美味しいものが見捨てられていくのだろうか?と考え込んでしまいます。
答えは、新聞記事で述べられていた中にありました。「わずらわしさ」です。調理に手間と時間がかかり、食べるときの骨も面倒です。健康志向の高まりの中にありながらも、その「わずらわしさ」のハードルがどうしても乗り越えられないのだそうです。う~ん、私は魚を捌くし、小アジの一夜干しは骨までばりばり食べるので、よく解りません。
その「わずらわしさ」を解消させて、魚介類の消費拡大を目指そうと、水産庁をはじめメーカーやスーパーが動き始めました。骨なし、手間なしの魚加工食品の開発です。大手のスーパーを覗いてみると、ちゃんとありました。骨まで食べられるとパッケージに印刷されています。サバのトマト煮やアジのバジルソースなど、どれも美味しそうです。
「美味しいものを食べるのに、手間を惜しんではいけない」。昔、バイト先の料理長の言葉が染み付いているガンコな私も、その「ファスト・フィッシュ」の「便利さ」はそれでいいと思います。ただ、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』のような、昔ながらの手間ひまかけた「手づくりの良さ」が忘れられる世の中にはなって欲しくないな、と思ったりもします。