泳げた!
No.205 / 2013年6月1日配信
水泳の授業がある前日は、明日の水温は何度だろうかと気を揉み、いつも中止を願っていました。当時15歳の私は水泳が得意ではありませんでした。息継ぎのタイミングのバランスが悪く、クロールもまるで溺れているようにしか見えず、到底長い距離など泳げません。そんな6月の憂鬱な私に体育の先生は「テストでは連続150メートルを泳いでもらう」と、冷たく一言。
テスト当日、水泳の得意な体育委員が「先生、水温は問題ありませんでした」と水温を報告しています。心の中では、おまえは良いよな、泳ぎが得意でと、体育委員を恨んでしまう始末。時間が来て、6人ずつ一緒に泳ぎ始めたものの、私はすぐに最後尾に。最初の25メートルで息が上がり、タ藁をもつかむ思いで壁につかまり、おもいっきりゴホゴホと水と空気を吐き出してしまいました。
しかしこれはテストです。どんなに苦しくても次の25メートルに進まなくてはなりません。いっそう大変な泳ぎ方になっていたのでしょう。体育委員の「ガンバレ~」という声。バッチャン、バッチャン。意識が遠のいていきそうです。もうダメかもしれないと思った瞬間、手がプールの壁をとらえました。神様は私にとっては奇跡のような距離を生まれて初めて克服させてくれたのです。
「みんな良く頑張った、全員『連続』で150メートル泳げた」と先生は言って,さらに今日は溺れそうになりながらも最後まで諦めない者に、みんなで「ガンバレ」といって応援している光景が一番嬉しかったと言いました。私はあの時代からみんなに支えられてきたんだなぁ。そして伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』の一杯が、今夜のこの想い出の時間を支えてくれています。すべてに感謝です。