白露の溜息
No.214 / 2013年9月1日配信
かんかん照りの中を歩いて帰って来ると、高めの温度設定がなされているとはいえ、職場のエアコンのありがたみが身にしみます。とくにこの夏は熱帯夜の連続による睡眠不足がたたり、夏バテ症状を抱えたままでしたので、その涼感には本当に感謝しなければなりません。自動販売機で買った冷たい緑茶を飲み干し、ふ?っと溜息。
以前の「9月初旬」は残暑が残るものの、もう秋の気配は濃厚でした。昼間の太陽熱が夕暮れ時の風に運び去られると、すぐに屋外は虫達のオーケストラ会場に。母の「さぁ、そろそろ風鈴を片付けなくては」という声が、我が家の秋の始まりでした。夏が終わる寂しさに、元気を取り戻していく身体の喜びが混じり合い、何やら複雑な感覚の時期でした。
二十四節気の今年の「白露(はくろ)」は9月7日。この頃は文字通り、「暑かった大気も冷えてきて、露ができるころ」とされています。ず?っと昔、母が風鈴を片付けていた頃は、今と違ってこの白露の感覚が季節にもう少しマッチしていたような記憶も。もう「白露」も「肌寒さ」という単語もこの時期不似合いになりました。
「そういえば、ウチにも南部鉄の風鈴があったよな?」と家人に尋ねました。「ず?っと出してないけど、何処かにあるはずですよね」と気の抜けた返事。「出してくれと言ってるわけじゃないんだけど」。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』のお湯割りの季節も、もう少し先になりそうです。今夜は虫の声を聞きながらの幸蔵ロック。オツなものです。