豚に真珠

No.217 / 2013年10月1日配信

「お父さん、なんか今日は嬉しそうね。いいことでもあったの?」と娘が気分の良さそうな私を発見します。「ほう、なかなかお前も鋭いな」「ねえ、何、なに?」と、成長につれ、最近は私との会話機会が少なくなっていた娘が妙に食いついてきます。「何か、美味しい話でもあるんじゃない?」と上目づかい状態です。

「もしかして、秋だし、お父さんの好きなモンブランでも買ってきてるの?」と自分の好きなケーキのことを勝手に思い描いています。私は「ブ~、違うね」と娘に伝えます。「モンブランは好きだけど、お前ほどじゃないよ」と言った後、「ところで、お前、食欲の秋だからって、ケーキの食べすぎは良くないぞ。少し太ってきたんじゃないか?」

 日曜日の午後、釣りに行けなかった私は家で、同僚の釣り帰りを待っているのです。昼過ぎに「カタの良いアジが釣れたので、帰りに持っていくから」との連絡があり、夕方到着する釣れたての「秋アジ」を思うだけで、口の中が唾液で溢れます。よし、今日はわさび胡麻醤油で和えた「胡麻アジ」にしよう。ふふふ。

 今夜は新鮮なアジに、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』で完璧です。そういえば、今年も幸蔵の新酒の時期。さらに幸せの予感が全身に広がります。「なんか、異常じゃない。それって」と娘は私を白い目で見ます。ムッとした私は「お前にはこの価値は『豚に真珠』かもしれないな」とつい口走ってしまいました。体重を気にし始めた娘に悪いことを言ったかもしれません。ごめんな。

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