落 陽
No.222 / 2013年11月21日配信
大きく赤い太陽が夕空を染め上げながら水平線に落ちていきます。晩秋の落陽はなぜかもの寂しくて、その「感傷的」な思いは四季の中でも群を抜きます。先月、そんなつるべ落としの落陽の季節の中で、今や世界中にファンを持つアンパンマンを描いてきた絵本作家・やなせたかしさんがなくなりました。
若い頃見たアンパンマンからは作者のいう「正義」が良く読み取れなくて、また画風も当時好きだった作家のものとはかけ離れていて、自分から積極的には読まなくなってしまいました。しかし今では、人生を少しばかり経験させてもらったおかげで、カッコ良くないヒーロー像も多少は理解できるようになったようです。
2、3年前には私の好きな欧米の作家が立て続けに亡くなりました。自己顕示欲の強い私立探偵スペンサーが活躍するシリーズで有名な、ロバート・B・パーカー。有名な「長距離走者の孤独」を書いた作家アラン・シリトー。そして「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャー。反抗期の少年を素材にした小説は私の心から離れませんでした。
巨匠の運命も落ちていく夕陽のように、大きくなった後は必ず沈んでいくのです。家人に今度あんぱんを買ってきてほしいと頼みました。へぇ~、珍しいわね、と不思議そうな顔をしています。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』を飲みながら食べるわけじゃありません。「キリマンジャロの粉も買っといて」と付け加えました。