ほたる

No.241 / 2014年6月1日配信

 私たちは早めの夕食をかき込んで、母と一緒にホタル見物に行く用意をしています。幼い兄と私は母が茶碗を洗い終えるのが待ちきれません。それは雨の季節の蒸し暑い時期だったような気がします。田んぼを抜けて小高い丘に向かう途中に、きれいな水が流れている小川があり、その川岸が私たちの目的地で、毎年ホタルの乱舞が見られる場所でした。

 農薬のせいかもしれないわねぇ、以前はもっとホタルが多かったような気がする。と、母は少し残念そうです。兄と私は小川の土手を、両手を広げてホタルを追いかけますが捕まえることができません。前年は捕虫網で捕まえて、家に持って帰りましたが、蚊帳の中ですぐに死んでしまいました。それから、寿命が短い生き物を持って帰ることは止めることにしたのです。

 ゲンジボタルは日本を南北に分ける「大地溝帯(フォッサマグナ)」より西のゲンジボタルは明滅が2秒ごとで、東側のホタルは4秒ごとの明滅だといわれています。中間地点では3秒点滅型も存在するということなので、とても面白いものです。ホタルにとっては必死な生殖活動に関わる大切な明滅ですが、私たちにはどうしてもロマンチックなものに見えてしまいます。

 そういえば最近は、川などの生育環境を整えてあげたらホタルが戻ってきたという、地域の話もよく耳にします。今年はひとつ、家人を誘ってホタルでロマンチックな気分に浸ろうかな?サッカーのワールドカップもあるし、この6月は幸せな月になりそうだね、とグラスの伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』に声をかけました。

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