つるべおとし

No.255 / 2014年10月21日配信

 我が家の山ガール(?)に触発されたわけではないのですが、以前よりも出歩くことが多くなりました。山の風景も素晴らしいのですが、海好きのせいか、先日もついつい玄界灘の海辺に向かって歩んでしまいました。やっぱりこの時期は、夕焼けに顔を真っ赤に染め、沈み行く夕陽を眺めながら無心で過ごす時間も捨てがたいものです。

 しかし、晩秋の太陽は意地が悪く、茜色の西空を「すとん」とすぐに水平線に姿を隠してしまいます。沈み行く美しい瞬間が短すぎてとても残念です。「つるべ落とし」の夕暮れは、ふられたばかりのデート後と同じように、私をひとりぽつんととり残します。そして、そんな私のいる松林をさっと一陣の風が渡り、ひんやりと首筋をなでて行きます。

 「つるべ落とし」は急速に陽が落ちていく夕暮れの様子のたとえですが、語り伝えられる民話の中の妖怪のことでもあります。各地の郷土研究資料の中には様々な妖怪が登場しているようですが、急に木の上から落ちて(降りて)きて、人間を襲ってしまう悪いヤツが多いようです。私の首筋をひやっとさせたのは、案外そいつの仲間かもしれません。

 つるべ落としに冷やされた後は、いつになく温かいものが恋しくなります。こうなると、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』のお湯割りが心を支配するのも時間の問題です。家人も「今日は温かい鍋料理ですから」と言ってたし、「しゃぶしゃぶか海鮮鍋だな、今夜は」とワクワクしながら家路を急ぎました。その夜は家人と娘の好きな洋風ホワイトシチュー鍋だとも知らずに。

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