いい嫁ぶり

No.258 / 2014年11月21日配信

 嫁いできた「およめさん」の「嫁」としての評価が高かったりすると、「いい嫁ぶりばい」といって、お嫁さんの実家にぶりを贈る習慣がある地域もあります。そんな地域に長く住んでいるのに、私はそんなシャレの効いたココロ溢れる習わしには、残念ながらお目にかかったことはありませんが、お年寄りに聞くとやっぱりあるらしいのです。

 核家族化は進み、今や3世代一緒に暮らす世帯は本当に少なくなりました。ということは、昔から伝わる地域の伝統、長い人生の中で培ってきた人の知恵や技術を伝えられる人が、日常の家庭の中からどんどん消えているわけです。もう、知恵の宝庫であるおじいちゃんやおばあちゃんは正月やお盆に会えるだけの人になってしまいました。

 幼い頃は父よりおじいちゃんに教えてもらったことが多く、竹で作った鉄砲や水鉄砲、竹ヒゴを骨にした和だこなど、子供の大好きな玩具をたくさん作ってくれました。いや、作り方を教えてくれました。けっこう、小刀(肥後の守)の使い方には厳しかったけれど、基本的にはユルく見守ってくれた印象が残っています。

 嫁ぶりの話を家人にすると、「あなたのおじいちゃんはもういなかったし、お父さんから私の実家にぶりを贈ってもらったこともないわね」と残念そう。「こんなにいい「嫁ぶり」なのにねぇ」という家人に、「さぁ、どうだか?」と私は疑問符付きの返事。「仮にいい嫁だったとしても、いまさら、ぶりを贈るってのもなぁ」。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』が美味しい夜のことです。

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