愛すべきもの
No.261 / 2014年12月21日配信
生き残るものは強いものでもない、頭の良いものでもない、それは変化に対応出来るものだ。と、あの進化論のダーウィンは述べました。だとすれば、「ガラパゴスケータイ」を長く愛用し、スマホへの転換も大幅に遅れた私などは生き残れない種類の人間なのかもしれません。河島英五の「時代おくれ」という曲に男の美学を感じるタイプでもありますし。
世の中のビジネス環境がOA化の波に洗われ、仕事の仕方が一気に変わった時代がありました。時代おくれをよしとする私はパソコン操作などの「新しいもの」に対して積極的にはなれません。しかし、不器用だからといって許してくれるほど、社会は甘くはなく、尻に火がつき出す頃に焦ってみてももう後の祭り。すぐに絶滅寸前の危機に迫られました。
しかし、不思議です。あんなに馴染めなかった「デジタル」なものに、今ではまるで空気のようなさりげなさで付き合えているではありませんか。なんとか時代に取り残されずについていけたのは、私が繰り返す幼稚な質問に嫌な素振りも見せずに付き合ってくれたひとりの後輩のおかげでした。愛すべき絶滅タイプの上司を放っておけなかったからだそうです。
そしてはからずもこの秋、「変わらないことの美しさ」教えてくれた愛すべき憧れのヒーローは静かに旅立って行きました。不思議なことに、高倉健さんが亡くなったと聞かされた二日前に、なんと偶然にも「鉄道員(ぽっぽや)」の文庫本を購入していたのです。愛すべき伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』をやりながらの年の瀬の読書。読み返すたびにまた泣けてしまいます。