しろうお

No.266 / 2015年2月11日配信

 毎年バレンタイン・デーが訪れる頃、私の住む地域で「白魚(しろうお)」の漁が始まります。白魚漁の解禁時期を迎えると、まず、室見川の河口に近い場所で、江戸時代からの伝統漁法の「やな」という白魚とりの仕掛けが設営されます。そして河原には特設の「白魚料理店」が姿を見せ、毎年この地域における早春の風物詩となっています。

 白魚は透き通った身体を持つ、ハゼ科の魚です。早春の頃に、海から河口の淡水域に産卵のために遡ってきます。そして産卵やふ化が終わると、すぐにその短い寿命を終えてしまいます。体長5㎝あるかないかの小さくな魚体で、小川に住む(住んでいた?)めだかに負けないぐらいの可愛らしさです。最近は「春を告げる」高級魚として価値も上がっています。

 つるんとした食感が人気の、ポン酢で食べる生食「踊り食い」が名物で、もちろん私も大好きです。白魚のかき揚げ、白魚の茶碗蒸し、白魚の卵とじ、白魚の佃煮、白魚飯などが料理店のメニューで、早春を楽しめる料理として人気があります。しかし近くに住んでいると、案外行かないもので、残念ながら料理店経験はこれまでに一度だけです。

 もっとも近年は、ほんの短期間ですが、近状のスーパーでも酸素入りビニール袋の中で泳いでいる白魚を買うことが出来ます。ただし、我が家では白魚の踊り食いの話は厳禁です。私を除くみんなが「そんな残酷な人間とは一緒にいたくない」と白い目で私を見るからです。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』でやる「かき揚げ」も旨いだろうな、と今年も想像を逞しくするのみです。

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