逆上がり
No.291 / 2015年10月21日配信
晩秋に向かう鉄棒はヒンヤリしていました。放課後の校庭、端のほうに設置された低鉄棒。小学低学年とはいえ、同じクラスの女子生徒ができる逆上がりをできない自分が恥ずかしく、体育の時間は重い心の負担になっていました。そんな私のために、見るに見かねた神様が放課後の鉄棒練習に付き合ってくれる友達を使わしてくれたのでしょう。
「練習しよう」と逆上がりが出来ない私を友達は誘ってくれたのでした。初めて自転車に乗れた時期は、友達達と変わらないし、運動神経が特に悪いとは思いたくありませんでした。しかし、出来ないのが現実。この先も尻込みを続けていては、上手く出来るようになるわけはありません。私は友達の救いの手をやっとの思いで受け入れたのでした。
逆手でも良いけど、回る時は腕を伸ばしたままじゃダメ。蹴り出す足は頭に向かうように蹴らなくてはならないんだ。というような内容のことを教えてくれて、実際に逆上がりを見せてくれたりするものの、物覚えが悪い私は相変わらず要領が飲み込めません。蹴り出した足は回ることなく、そのまま地面にドタッと戻って来るだけ。
何回挑戦してみてもうまくイメージをつかめない私に、友達も困り果て、低鉄棒の影は地面に長く伸びています。また、明日があるよ、と友達が僕の肩に手を置きました。大人になった今でも、心の負担は多く、ついつい勇気を与えてくれる温かい手を探してしまいます。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』は「明日があるよ」といつだって言ってくれる親友です。