頑固もの

No.295 / 2015年12月1日配信

 19歳のとき、自然や動物が好きだった星野道夫はアラスカのイヌイットの村に手紙を書き、受け入れられ、短い夏をイヌイットの家族とともに過ごします。その後、残りの大学時代、心はアラスカに奪われっぱなしの状態で、卒業後2年間の写真家修行の後、1978年にアラスカ大学の野生動物学部の入学試験を受けます。

 英語の試験点数が30点足りずに不合格だったそうですが、アラスカに出向き、学部の教授に直談判します。その教授は星野の熱意を受け入れたのですが、不合格だった大学に「熱意」で行けるようになるとは、なんと良き時代だったのでしょう。それから本当の彼のアラスカ暮らしが始まります。そしてそこから、私たちは美しいカリブーやクマ、アラスカの自然をリアルに知ることとなります。

 野生のクマの撮影にも一人で出かけるなど、野生の動物の行動や生態に詳しい彼も、カムチャッカ半島でヒグマに襲われ、最期は43歳で命を落とすことになります。野生のヒグマは、特に鮭の産卵期には人を襲うことはないといわれますが、この時のヒグマは人によって餌付けされていた、人との距離感を失っていたヒグマだったそうです。

 自然(特にアラスカ)が大好きだった彼には、仕事で落ち込んでいた時に、その生き方で、その美しアラスカの写真で、気持ちを支えられたものです。私は、彼のような男が大好きです。(たぶん)長い間、銃も携帯しないで撮影を続けた頑固もの。今夜は久しぶりに伝承かめ壷造り・本格芋焼酎『幸蔵』のカップを傾けながら、アラスカの夢のような写真のページをめくります。

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