友が去った日
No.301 / 2016年2月1日配信
二十四節気の「大寒」前に、九州ではやっと冬らしい寒さが戻ってきました。北半球で大規模に起こっている「大暖冬」もやっと一息というところかもしれません。冬空の雲の隙間から溢れてくる、弱い日差しの中を、亡くなったばかりのデビッド・ボウイの歌声がFM放送で流れてきます。その懐かしいナンバーを久しぶりに耳にできました。
ちょうどデビッド・ボウイが「レッツ・ダンス」のヒットや、出演した映画「戦場のメリークリスマス」が公開された頃、友人と私は会社にとっての重要な仕事を任され始めました。世の中が上昇気流の中にあり、多少の失敗にも目をつぶってくれるおおらかさの中、私たちは飛び続けたのを思い出します。いや、踊り続けたのを思い出します。
それから20年後、友人から「君にはどうしても言っておかなければならないことがあるから」と言って、いつもと違う雰囲気での一杯に誘われました。バブル経済崩壊後、業績不振の中、早期退職依頼に応じ、職場を離れる決意をしたのだそうです。「バブルがはじける前は、よく一緒に踊りに行ったよな」と友人はしみじみと語りかけました。
幸せなことに、私たちはみんな記憶につながる良い音楽を持っています。そして私はさらに嬉しいことに「幸せになる酒」も持っています。寒い夜、お湯割で伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をやりながら、グラムロックのスターと去っていった友人にそっと思いを馳せてみるのも悪くはないかもしれません。