思い込み

No.311 / 2016年5月11日配信

 人には誰にも一つぐらいは「強い思い込み」があるものです。その思い込みが間違っていないものだったら問題はないのですが、往々にして間違いや偏った理解の場合が多いものです。季節が訪れるたびに、様々なメディア情報、店頭の陳列からインプットされ続けた所為もあり、私の大好きな椎茸も「秋がもたらす恵み」だと信じて疑いませんでした。

 そんな自分の常識も、ある日ひょんなことから簡単に壊れ去ってしまうことになるから、本当に怖いものです。「お父さんが好きな大きな原木椎茸が直売コーナーにあったわよ」とスーパーからそれを買ってきた娘が告げました。「そんなの不味いんじゃないのか?だって椎茸の旬は秋だぞ、そんな季節外れのものなんか。お前は全く解ってないなあ」

 私の好みを知っている家人が大きな椎茸を網焼きにして、バターをのせ、醤油をたらしてくれました。バターと醤油が炙られて香ばしい匂いが立ち込めています。どれどれ、とばかりに摘んで食べてみると、そのうまさに驚いてしまいました。あわびのバターソテーにも劣らない上品な弾力と旨味、その完璧な食感に圧倒されてしまったのです。

 食後に、家族に悟られないようにこっそり「春椎茸」をWEB検索。なんと椎茸には春と秋の2回の旬があるのだとか。ショックでした。冬の寒さを耐えて成長した春の椎茸は、身が締まり香りも良くなるのだとか。娘に謝るべきかか。う?ん、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との相性もバッチリだったし。まあいいか、もう旬の話はなかったことにしよう。

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