釣道楽の世界
No.327 / 2016年10月21日配信
私の住む福岡の市立美術館が全館リニューアルで1年半の休館となっています。よくお世話になっていた場所なので、少し寂しい気がします。そんなところに「ドキドキするような企画」の展示会が市立博物館で開催され、まさに私にとっての心の救世主登場といったところです。その展示会名は?多彩なる水の趣味文化?「釣道楽の世界」です。
「一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい」「三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい」「八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい」「永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」という中国の古いことわざが記されていて、つい開高健を思い出してしまいます。最近幸福度が足りないのは、どれかが欠けているせいでしょう。
釣りに悦びの時間と幸せを求めたら、人はやっぱり道具作りに突き進んでしまいます。伝統的な釣り道具を眺めるうちに気付かされました。娯楽の中に美意識を見いだせるその世界観はまさに「文化」そのものです。以前「えっ、また釣りに行くの?」とよく私を白い目で見た家人には一生わからない世界でしょう。それがわかる私こそ文化人なのです。ふふっ。
展覧会場は思ったより多くのお客さんでしたが、帰宅してそのHPを覗いたら「現在 700 万人近い人びとが愛好する『娯楽としての釣り』は、江戸時代に成立した文化」とありました。以前、日本の釣り人口は2,000万人とか言われていたので少し心配ですが、仕方ありません。さて、私としては今夜も伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」で、さらに一時間幸せになるほかはないのです!