カリフォルニア・シャワー
No.356 / 2017年8月1日配信
誰だってそうかもしれませんが、夏になると決まって聴きたくなるサウンドがあります。心を解き放つリズム感、軽やかでフレンドリーなメロディ。自分の日常から遠のいていた曲が、今、ラジオから流れています。どうしてこんなにす?っと心に入ってくるのだろう、と若い頃から大好きだった渡辺貞夫のカリフォルニアシャワー。ウキウキする軽快なジャズフュージョン。
四半世紀以上前、8月の或る日、私はイギリスからヨーロッパ大陸に渡るためのフェリーに乗り込みました。ドーバー海峡は曇りのち晴れ。船のデッキの上では陽の光を浴びようと、多くの欧州の女性が白い肌をさらしています。私は目のやり場に困りながら(?)デッキの端に座り込み、旅のお供をしてくれているパナソニックの「旅カセ」のスイッチを押しました。
日本から持ってきたナベサダの「カリフォルニア・シャワー」がドーバーの風に流れます。デイブ・グルーシンのスマートなアレンジによる「爽やかなサウンド」が船上の人の心をとらえました。いい曲だな。なんてやつの曲なんだ?と声をかけられ、私はニンマリ。やっぱりいい音楽には国境はなかったのです。「ナベサダか。覚えておこう」と青い目の人もまんざらでもない様子。
イギリスとヨーロッパ大陸をつなぐ海の上。ジョンレノンが歌うイマジンのように、国(境)なんてないのさ、あるのは(それをつなぐ)空だけさ、の感覚は正解でしょう。国籍は違っても、いいものは共有できるというボーダレスな風。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のロックグラスを揺らしてみます。カリフォルニア・シャワーに負けない気持ちの良い氷の音がしました。