サムライ・ブル~
No.362 / 2017年10月1日配信
この夏の終わりに行われたサッカーワールドカップ・アジア最終予選の最終試合を、ついにテレビ観戦してしまいました。サウジアラビア相手のアウェイでの試合だったので、観戦は深夜(夜明けに近い)に。時間も時間なので、残念ながら伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」片手に応援するスタイルは取れません。眠い目をこすりながら、低音量のTV画面に見入ります。
幸い日本代表はその数日前、すでにオーストラリア相手にワールドカップ出場を決定づける勝利をつかんでいました。これまでならば、TV観戦のモチベーションは落ちていて、そんな深夜にスイッチを入れることなど考えられなかったはずです。おまけに我が家の猫の看病で睡眠不足だったこの夏でした。体調は完璧ではありません。それなのに、それなのに…。
日本に負けたオーストラリアチームの選手から、自分の国が出場権を争っているサウジアラビアと対戦する日本代表に「頑張って欲しい」との声がたくさん。出場を決めた日本はもう勝利にこだわる必要ないだろうけど、侍魂の日本人は最後まで真剣に戦うはずだし、期待してる、と。日本代表のプライドに火をつけるつもりの言葉は、その前に私にも火をつけてしまったのです。
30度を超えるピッチの上で、日本代表は応援虚しく散ってしまいました。数時間後、朝の食卓で娘が私の睡眠不足の顔を見て口を開きました。「サッカー見たでしょ。なんか、顔が青いよ」「俺もサムライだからな。負けて期待に応えられなかったから、少し憂鬱なんだ」「はいはい」と娘が笑いました。「サムライ・ブル~って睡眠不足のお父さんのことだったのね」