10年ひと昔

No.406 / 2018年12月21日配信

 井上陽水の曲の歌詞に「10年はひと昔」というフレーズがありましたが、時間への観念がもう随分と変わってきたようです。高度情報化の進展に伴ってか、急激に時間の長さが短く感じられるようになりました。今の私の感覚では10年ではなく、1年ひと昔という感じでしょうか。いや、もっと短いかもしれません。今年前半に流行った言葉だって、数年前のことに感じます。

 その原因をデジタル化社会だけに求めてもまずいような気がします。私が年をとってきたせいもあるでしょう。仏の哲学者ポール・ジャネは年を重ねるほど、早く時間が過ぎ去るように感じるものだと言いました。100歳の人なら1年の長さは人生の100分の1で、10歳の1年の長さは人生の10分の1になるのだそうです。なので、50歳の人も1年は短くて当然。

 それはともかく、子供の頃の1年には多くの思い出が詰まっていたような気がします。見るもの、聞くもの、全てが好奇心を刺激するようなものに感じたからでしょうか、とにかく当時は日常の一つ一つの出来事がとても大切なものだったように思えます。翻って、その1年に私のこの一年置き換えると、それはもう雲泥の差。心に焼きつくものの数も随分少なくなりました。

 一年の短さを憂うばかりではなく、好奇心を再育成する必要がありそうですと、師走も押し詰まってくると、例に漏れず頭の中でそのような反省会が繰りひろげられます。それでも、それでも、今年もいいことはあったなあと、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」のおかげもあって、温かい気持ちでは年を越せそうです。乾杯!この短くなった貴重な1年に感謝して。

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