プロフェッショナル

No.412 / 2019年2月21日配信

 昨年9月に亡くなられた樹木希林さんは「美しい方はより美しく、そうでない方は……」というカラーフィルムのCMで私たちを楽しませてくれました。その前の芸名で出演していた人気のテレビドラマでも個性を発揮されていて、「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」でも笑わせてくれました。老け役で人気を得たという「怪演」の原点は、案外そこだったのかもしれません。

 そして、これまた私を素直に楽しませてくれた「まんが日本昔ばなし」の声優をしていた市原悦子さんもこの1月に亡くなられました。常田富士男さんとのコンビで何役もの声を使い分けて、独特でゆっくりとした語り口が忘れられません。経済発展が続く私たちの忙しい日常の中で、声で心に安らぎをもたらしてくれました。彼女もまた特別のものを私にくれた人です。

 ガンや難病によって痛みながらも、最後までその演技や特技で素晴らしい時間をくれたお二人でしたが、私が一番素敵だと思うことは何と言っても「長く続けてこられたこと」です。定年退職のない職業だとはいえ、向上心を無くさずに、老いや病を受け入れながら、よくも最後まで意欲を持てたものです。その姿勢には心を打たれます。まさにプロフェッショナル。

 私は不器量でトクしたわと、樹木希林さんは言われました。寄ってくる人は少ないから、自らの判断で相手を選べるでしょ、と。そして最期まで、人生を自分の判断で生き抜かれました。周りからは壮絶に見えることも、きっと自分では当たり前なのでしょう。変わらずに、普段通りの態度を貫くこと。さあ、今夜も普段通りに伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」です。

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