棒 鱈

No.429 / 2019年8月11日配信

 お盆は家族や親類縁者が集まる良い機会です。毎年、家人の実家には甥や姪たちの賑やかな声が溢れます。昨年のお盆には最後の大学受験生がいたので、多少は気を使いましたが、今年は受験生もいなくて気がラクです。食欲旺盛な若い彼らのおかげで、大皿に盛られたお盆料理も結構キレイに食べ尽くされ、私も気持ちよく皿洗い(涙)ができるというものです。

 記憶では昔のお盆はほとんどが精進料理だったような気がしますが、今は牛肉もへっちゃらな家庭も多く、若い人にとっては良い時代になったものです。焼肉やステーキは私も大好きですが、まあ年相応に、お盆ぐらいは「ふさわしい料理」を食べたいなと思うようになりました。子供の頃好きだったのが、油揚げと一緒に甘辛く醤油で煮つけた「タラの煮付け」です。

 そのタラはほろほろとした繊維感のある独特な食感で、子供の好きな甘辛い味付けだったから、特に印象深かったのかもしれません。私はおむすびや稲荷寿司と一緒に食べていましたが、周りの大人たちはお酒の肴にしていました。今思うと、美味しくて高タンパクの棒鱈は「最強の酒の肴」だったのかもしれません。その頃、子供だったことが本当に残念です。

 私の話を聞いて、「油揚が入ることで、まろやかになるのね」と娘が一丁前に旨みの解説をします。酒が飲めるようになって、それほど長くないのに、偉そうにしゃべるではありませんか。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を前にして、どんな美味しさになるかを予測できるようになって初めて、味のうんちくが語れるというもの。娘よ、君にはまだ早すぎる、と思うぞ。

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