目から鱗

No.442 / 2019年12月21日配信

 「この鯛のあらの煮付け、美味いじゃないか」と久しぶりに娘を褒めました。「そうでしょ。鱗が残ってないかどうか見落としがないように、丁寧に鱗落としでこすったのよ」と自分の努力を強調した声が返ってきました。「以前、お父さんはお母さんに鱗が残っているぞって、文句言っていたじゃない。料理って、そんな細かいところが大切なんだって」

 以前、大きな真鯛を釣ってきた時、家人にあら煮を作ってもらいました。娘はきっとその時の私の言葉を覚えていたのでしょう。普段はことあるごとに家人と一緒に私に意見してきます。「いやねぇ、お父さんは。何にも分かっちゃないんだから」とか、「そんなの、男のわがままよ」とかいう娘が、昔、喋ったことのある父親の言葉を覚えてくれていたのです。くくっ、涙。

 思ってなかった娘の「精神的な成長」が見てとれます。「目から鱗」とはまさにこのこと。娘はバリバリのカフェ飯派で、和食への興味もそれほどではありません。ある調査では、和食を1日1回以上食べる割合は20代でやっと4割なのだとか。そんな若者意識の中、洋食派なのに和食の庶民的な煮付けにも目をそらさない我が娘が、急にいとおしく見えたりします。

 私のことを言えば、この一年は仕事はさておき、新しい「酒の肴」作りの挑戦を楽しみながら続けることができました。飲んだり食べたりすることが本当に大好きだからでしょう。来年も娘に負けないように、技を増やさなくてはと思いながら、2019年とももうじきお別れです。さあ、健康で過ごせたこの一年間に感謝して、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」で乾杯!

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