静かな春

No.452 / 2020年4月1日配信

 桜は咲き、暖かい日差しに恵まれても、何か今ひとつ心の晴れ方がパッとしません。最近は街の地下街にインバウンド客はほとんどいなくなったし、ゴロゴロと大きな音を立てていた旅行ケースもあまり見当たりません。アパレルショップやドラッグストアの店員も結構暇そうにしています。ただ、それは昔の「騒がしくなかった」ころとも、また何か違った妙な雰囲気です。

 そんな違和感の中、あのレイチェル・カーソンが半世紀以上前に出版した「沈黙の春」を思い出します。1950年代にアメリカで起こった殺虫剤や農薬散布における環境破壊や放射能の問題などを告発した本でした。しかし、その本を読んだ頃は自分の日常と環境問題を上手にシンクロさせることができなかったのか、その内容の輪郭もおぼろげですが。

 アメリカの多くの州に「鳥が啼かない春」は何度も訪れ…はショッキングなフレーズでしたが、近年よく世界を賑わすようになった「新しいウィルス感染」にも何か寒いものを感じてしまいます。今回の新型コロナ感染はパンデミックをもたらし、世界の国々が出入国を禁止し、数多くの国家非常事態宣言も出されました。多くの社会生活の扉は閉ざされ、とても窮屈なものに。

 トイレットペーパーを切らして大変だったけど、なんのこれしきです。「おい、花見でも行くぞ!」と、何年ぶりでしょうか、娘に声をかけました。気持ちよく桜を鑑賞した後は、おうちで伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」と過ごします。「お父さん、手、洗った?ちゃんとしてね!」とうるさい声。我が家に静かな春は無理かな。今からアルコール消毒(?)するんだよ! 

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