冷 麦
No.461 / 2020年7月1日配信
気温が上がると、次第に食欲が細り、すぐに痩せていった夏。少年の頃、夏は喉の渇きを癒すため以上に水分を取りすぎ、胃腸がギブアップ、食欲不振を招いていました。いけないと思っても、冷たいアイスや氷をたくさん入れた麦茶を止めることができません。そんな痩せっぽち少年の夏の食欲とお腹を救ってくれたのが、喉を通りやすい「冷麦」でした。
素麺より太めの麺である「冷麦」は夏休みの昼食はもちろん、晩ご飯の主食としても食卓の主役でした。太いだけ、素麺よりお腹が満足するような気がします。素麺の定義は直径1.3ミリ未満、冷麦めんは直径1.3ミリ以上1.7ミリ未満だということです。1束の乾麺にはわずかに赤(ピンクっぽい)や緑の麺が混じっていて、よくそれを兄と争って取り合いをしたものです。
主食が冷麦の場合、おかずとして何かを食べていたはずなのに、よく思い出せません。メニューがカレーライスの場合はカレーだけだったような気がするので、ほとんど冷麦だけを腹いっぱい食べていたのでは(?)。当時、豊かではなかった家計をやりくりしていた母は、栄養のバランスを脇に置き、まずは息子たちのお腹を満たすことに注力したようです。
素麺ではなく、むしょうに冷麦を食べたくなり、久しぶりに家人に冷麦の夕食を頼みました。もちろんミョウガや小ネギ、山葵を加えて麺つゆでいただく昔ながらの冷麦を。ただ、イサキの塩焼きと冷奴と枝豆もお願いしました。もう少年ではなくて酒を嗜む大人ですから。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をいっぱいやった後にすする冷麦は最高でしょう。