風の思い出

No.463 / 2020年7月21日配信

 エアコンが欠かせない季節です。冷房に頼りすぎても良くないと思いますが、気持ちよく寝付くにはやっぱりエアコンの冷たい気流は必要です。家人はよく言います。「エアコン、少し弱くしない」もしくは「少し寒いんだけど」と。今年はまだ映画館に行けてはないですが、昨年夏、家人は長袖のカーディガンを羽織って映画を見ていました。

 よく考えてみれば、「暑い、暑い」と言っている私でも、以前、旅行で行ったハワイのホテルの冷房の強さには驚き、日本人と欧米系の人たちでは快適温度に差がありすぎると思ったものでした。基礎代謝の違いなどで感じる暑さは違うのでしょうが、同じ日本人なのに「暑い、寒い」と夫婦でも体感温度の差が大きく、ここはもちろん相手への思いやりも必要です。

 その昔、待望の扇風機が我が家にやってきた日、私は中流家庭に仲間入りできる誇らしさでいっぱいでした。その当時最新機種の扇風機はモーターや羽根の音が大きかったものの、首を振っては家族みんなに涼風を運んでくれました。「おい、扇風機の前に立つなよ」と兄によく文句を言われ、ゲンコツをもらったものです。そしてもう一つ忘れられない風の思い出が。

 扇風機以前、母が蚊帳の中で、私が寝付くまでうちわで扇いでくれたことを思い出します。風通しが良い家でしたが、やはり風のない暑い夜は寝付けません。母のうちわの優しい風。蚊取り線香の煙がすうっと乱れます。思えば、エアコン以上の価値がある幸せな風でした。胸が熱くなってきました。さあ、今夜も伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」に氷を浮かべる時間です。

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