炙りタコ

No.493 / 2021年5月21日配信

 たぶん北海道産のミズダコでしょうが、少し透けた感じの薄造りの刺身がデパ地下にありました。世界で一番大きいタコと言われるだけあって、地元で獲れる真蛸やアフリカ・モーリタニア・モロッコなどで獲れるタコ足より随分大きな直径をしています。そして、その薄切りは足の表面を炙ってあり、とても美味しそうです。その夜の酒の肴になると思うと、テンションも一気に跳ね上がります。

 薄切りタコの刺身にもみじおろし入りのポン酢をつけて口に入れます。ポン酢の爽やかな酸味と唐辛子の軽い刺激。そして火が通っていない生ダコのツルッとした食感に舌が喜んでいるのがわかります。普段食べる茹で蛸のさしみと全く違う歯触りと優しい弾力。ミズダコというだけあって、水分の多い肉質だからさっぱりしていて、硬さは別にして味はフグの薄作りと相通じるものがありました。

 日本人のタコ好きは有名で、世界のタコ消費の約6割を占めるといわれます。それも、近世になって食べ始めたのではなく、弥生時代の遺跡からも捕獲のための「蛸壺」が出土しており、永く日本の食の歴史を彩っているのです。コロナ禍の「巣ごもり食」の影響でタコも更に家庭で食べられる量が増えたようです。タコはずっと前年の家庭消費支出(2人以上世帯)を上回って推移しています。

 九州では基本的には「真蛸」を茹でたものをわさび醤油で食べますが、私はぶつ切りにしてきゅうりの角切と「キムチの素」で和えたり、スライスしてバジルソースで食べたりしています。結構、我が家の住人には私のタコ料理は好評で、みんなに「引っ張りだこ」なーんちゃって。しかし、あぁ、あの北海道の炙りタコをもう一度食べたいなぁ、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」と一緒に。

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