長 芋
No.512 / 2021年12月1日配信
11月中旬に博多のまちには、「触太鼓(ふれだいこ・呼び出しが太鼓を叩きながら大相撲の興行が始まることを触れ回る)」とともに玄界灘よりの北風が吹き始めるとも言われますが、今年はあまり強く吹いた印象はありません。ですが、ここにきて次第に冬らしい風になってきました。やはりこの頃には温かいふれあいが恋しくなるもので、よく会社の同僚と屋台の暖簾をくぐったものです。
夜の繁華街として有名な中洲の北側、玄界灘の海に近い道路沿いにその屋台はありました。焼き鳥などを注文してお湯割りの焼酎を飲んでいると、屋台の大将が「形の良い長芋があるけん、食べてみらん?」と声をかけてきました。「擦りおろしても美味しいっちゃけど、バター焼きにするとこれがまた、旨かとよ」と結構強引に奨めてきます。いつものように私たちは簡単に押し切られました。
長芋の日本における産地は北海道や青森・岩手などの東北地方で、その出荷量は他を圧倒しています。九州の若い独身男性が口にすることも少なかったわけで、いきおい、長芋のバター焼きなどに遭遇すると、もうその味に夢中になったのも無理はありません。柔らかで香ばしいバターの味の中に、山芋らしいシャキッと感が残っていました。私たちには他の芋とは違う味わいがとても新鮮でした。
葉物野菜類と違って根菜の旬は分かりにくいかもしれませんが、長芋などの山の芋類は冬が食べごろの季節です。手に入った長芋もしっかりラップや新聞紙で保管すれば長持ちします。よし、この冬は長芋を使った料理に挑戦するか。お好み焼きにすりおろしを入れても美味しそうだし。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との相性は? そりゃ、聞くだけ野暮だっていうものです。