唐津焼
No.526 / 2022年4月21日配信
鯉のぼりが気持ちよさそうに青空を泳ぐ季節になると、毎年決まって恋しくなる場所があります。それは家人の実家がある唐津で、帰省のたびに楽しんでいる「唐津やきもん祭り(ゴールデンウィーク期間)」です。そして、唐津から車で約40分くらい西に行けば、毎年同時期に開催(この二年間はコロナ禍で中止)される、あの全国的にも有名な「有田の陶器市」もあり、焼物ファンは忙しいです。
身内贔屓ということで「唐津やきもん祭り」をお勧めしたいところですが、もともと歴史的つながりのある両地域だし、ここは焼物を愛する広い心で、両焼物に拍手を贈るべきです。この二つの地域の焼き物の特徴は、簡単に言えば高温で焼き上げた有田の「磁器」と素朴な土の風合いが持ち味の唐津の「陶器」。趣の領域が違うものの、どちらも私たちの生活の精神的な質を上げてくれます。
唐津焼は土の特徴を生かした陶器で、素朴で力強い作風が魅力。特にその源流であるといわれる「古唐津」の評価は全国的に高く、茶の湯の世界では、和の茶碗での評価を「一楽、二萩、三唐津」と呼ぶなど、全国有数のやきものとして知られているそうです。千利休が所持していたと伝えられている奥高麗筒茶碗も、400年の歴史を持つ古唐津の代表作として広く知られるところです。
そのずっしりとした実直そうな焼物を手に取れば、そよ風にも飛ばされそうな我が軽い魂にも「大人の重み」が加わりそうな気がします。今年は久しぶりに唐津市内の焼物展示会場で、新作の唐津焼カップを手に入れようかな。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との雰囲気の相性はこれまた抜群、ということで今から楽しみで仕方ありません。コロナよ、間違っても急に暴れ始めるなよ!