葛飾北斎

No.530 / 2022年6月1日配信

 只今、太宰府にある九州国立博物館で「葛飾北斎展」が開催されています。出かけたのはGW後でしたが、多くの北斎ファンで賑わっていました。北斎人気は世界的で、アメリカのライフ誌の「過去千年間で最も重要な功績を残した100人」の一人として名を連ねているそうです。日本のパスポートの査証ページに印刷してあり、日本人として誇らしく、再来年からの新千円札にも採用されるそうです。

 今回もやっぱり目についたのはあの欧米でも人気の高い「グレートウェーブ」こと、富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」でした。相変わらずあの青い大波の、白い爪を立てたような波頭の迫力に圧倒されます。今回は毎日毎日1枚づつ、魔を除くための「獅子」が描かれた「日新除魔図」がずらりと200枚以上も並べられ、撮影許可が出ていたので自分の誕生日の獅子の絵をスマホに収めてきました。

 江戸中後期に生きた北斎の年表を眺め、展示してある波の絵の進展を見ていると具体的な描画技術の推移がわかってきます。あのグレートウェーブが世に出るまでの約30年前から、北斎は波の絵を描き続けていたそうです。若い頃のこじんまりとした波の絵からはグレートウェーブを想像するのが難しいのですが、きっとそこから北斎の絶え間ない努力は続き、そして実を結んだのでしょう。

 北斎の長生きは有名で、富嶽三十六景を完結したのは70歳過ぎ、90歳で死ぬ直前まで絵を描き、あの「富士越龍図」も晩年作です。「後、5年あればもっと技術的にも良いものができたのに」と死ぬ前に語ったとか。とにかく凄い。情熱をそこまで持ち続けることができるなんて。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」をやりながら、叱咤激励の声を自分に向けました。お前も頑張らんかい、と。

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