アラスカ
No.537 / 2022年8月11日配信
暑い夏はやっぱりかき氷タイプのアイスが一番。そこで冷凍庫から登場するのが鹿児島名物の「南国白くま」です。練乳がかかったかき氷にみかん、パイン、小豆がトッピングされた懐かしい味わいです。鹿児島のアイスなのに「白くま」なのが、なんとも楽しくて、よく口にします。身体の熱を冷ましてくれたら、今度は暑くて弛んだ精神をグッと引き締めてくれる、アラスカの大自然の話。
私は暑くて心が緩んでしまっているなと感じたら1冊の文庫本を取り出します。「アラスカ・永遠なる命」星野道夫著です。小学館文庫より出されている、半分は写真のページだと思えるような、美しい本です。アラスカの大自然と動物を撮り続けた彼の膨大なストックの中から選ばれた写真たちです。もちろんアイスではない本物の白くま(ホッキョクグマ)の親子の写真も掲載されています。
北極圏の話だとしても、雪や氷だけの世界ではありません。長い冬が終わるとやってくる待ちに待ったあの土の匂い。短い夏の間に精いっぱい咲き誇る花たち。そして冬を前に燃えるような紅葉に変わりゆく大地。星野道夫さんは写真と同じように、美しく簡潔な文章でアラスカの大自然を描き出しています。私はこの本を手に取るたびに、自分の背筋が伸びていくのがわかります。
20代の頃、私は旅の目的としてオーロラも候補に上げていましたが、残念ながらそれはいまだに実現できていません。星野道夫さんが自分の人生の最後に思い出す風景は、アラスカで見続けていたオーロラに違いないと、本の最後に記されていました。う?ん、私はやっぱり宝くじを買うしかないかな。冷たい伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を喉に流し込みながら、アラスカを思います。