バッテラ
No.544 / 2022年10月21日配信
鯖好きのせいか、バッテラも好んで食べます。〆鯖を使った押し寿司なのに、この押し寿司は「和風」には思えない名前です。私も長い間、そのバッテラという名前に何ら違和感を覚えることなく使っていたのが、今更ながら不思議なくらいです。不思議を解決するには、ついウキペディアに頼ってしまいますが、今回は農林水産省サイトの「うちの郷土料理(大阪)」というページにバッテラが。
かつて江戸の握り寿司に対して関西の寿司は「押し寿司」が主流でした。最初は大阪湾でよく獲れていたコノシロが使われていたそうですが、半身の寿司が小船のような形をしていたところから、明治の中頃に「バッテラ(小舟のポルトガル語)」と呼ばれることに。そのうちに安価な鯖(?)が使われはじめ、押し型の四角い箱が使われるようになり、現在の姿になっていったのだそうです。
半年前、サバの日(3月8日)ということで、デパ地下の分厚い身を使った焼き鯖寿司を食べたことを思い出しました。焼いて香ばしい鯖の旨味に心を奪われたものでした。しかし、今思えば心の底ではバッテラと比較している自分がいたような気がします。焼き鯖寿司は醤油を少し注して食べましたが、バッテラの鯖は「酢で〆てある鯖」なので、醤油を必要としません。おいしさもさることながら、お手軽です!
それに、白板昆布(〆鯖の上に載っている透明感のある薄い昆布)が妙に艶かしく、そのツヤツヤした表情が私の唾液腺を刺激しまくります。秋鯖も脂が乗ってくる頃だし、もうバッテラのことを思うだけでたまらなくなります。食欲の秋真っ盛り。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を一杯やりながら食べるバッテラは美味しいだろうなぁ。待ちきれません。週末はバッテラ求めてひとっ走りです。