幸水、幸せな味
No.571 / 2023年7月21日配信
みずみずしくて、シャキッとした歯触り。夏は爽やかな甘さがこの上なく美味しい梨の季節です。冷蔵庫で冷やして食べると、オーバーに言えば、天にも昇りそうな気分。昔、母が買っていた梨は果皮が青い(緑)の二十世紀梨でした。最近、売り場で見かけるのは黄緑がかった褐色の「幸水(こうすい)」。その幸水という品種は日本の梨の中では最大(約40%)の栽培面積を誇る品種だそうです。
幸せな水と書いて「幸水」というこの品種は、果樹研究所で「菊水」と「早生幸蔵」という品種を交配させて作られたそうです。「早生幸蔵」の「幸」と「菊水」の「水」をとって「幸水」と名付けられたとのことですが、梨の世界に「幸蔵」という名前が出てくるとはなんという巡り合わせでしょうか。日本の梨の中では「幸水」が一番食べられているという事実も大変興味深いです。
大好きな韓国風冷麺のトッピングにはこの幸水が似合います。梨が出回る前はスイカも美味しいのですが、やっぱり出盛りの幸水がおすすめです。キムチの辛味が加わった冷たい牛の塩味スープには、この幸水の甘味がピッタリとハマるのです。和食では冷たい麺料理に香味野菜やきゅうりなどの野菜は使っても、甘い果物を使う発想は少ないと思いますが、韓国冷麺の世界にはそれがあります。
ツルツルとしたコシの強い米粉麺を噛み締めながら、冷たい伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」を飲るその至福感。母親が早生幸蔵である「幸水」と「幸蔵」が醸し出す美味しい世界。これから続く長い酷暑を乗り切るには、やっぱりそれなりの「元気がでる」美味しさの演出が必要だと思いますが、このペアリングはこの夏一番の取り合わせ。個人的には最強のおすすめと言っても問題ありません。