漫画家の死

No.596/ 2024年4月1日配信

 私が勤めていた会社にMさんというデザイナー職の先輩がいました。スポーツが万能(よく、プロゴルファーになったらと声をかけられていた)でカラオケの歌も素人とは思えない歌唱力で、仕事の面でも面倒見が良く、若い頃はグラフィックデザイン面でよく助けられました。入社研修後、福岡支店勤務を命じられ、先輩であるMさんと一緒に着任したのを憶えています。

 博多の同じ独身寮で深夜や休日にもかかわらず、チラシのデザインやレイアウトについて、よくレクチャーしてくれました。当時のイトーヨーカ堂、ダイエーや東北地方の百貨店(デザインが良かった)のチラシを見せてくれ、「良いチラシのデザイン」のポイントを具体的に教えてもらったものです。感謝。そして、そして、そんな先輩の同期入社にあのドラゴンボールの作者が。

 当時、先輩と一緒に夜遅くの残業をこなしている時、「鳥山は会社を早く辞めて正解だったな」と先輩が話し始めたことがありました。鳥山さんの会社在籍期間は2年半くらいだったとか聞いていますが、ロットリング(精密ペン)を使って版下を作る忍耐作業や、忙しいのに容赦なく頼まれるイラスト描きなど、思うようにならないデザイナー勤務に見切りをつけたのでしょう。

 鳥山さんにはフランスのマクロン大統領やジャッキー・チェンさんなど世界中から死を惜しむ声が相次いでいます。地球上に漫画の素晴らしさを伝え、アニメやゲームの優れたキャラクターを生み出した鳥山さんの人生に乾杯。最近は残念な死が続くこともあり、伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の杯もつい増えてしまいます。早すぎる死、心よりお悔やみを申し上げます。

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