一万円札
No.604/ 2024年6月21日配信
買い物をしても現金支払いをすることが少なくなりました。私の場合はほとんどがクレジットカード払いです。現金を用いないキャッシュレス決済の比率は2022年時点で36%というデータがありました(経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率の算出」(2023年4月))。キャッシュレス決済に導入をためらっていた日本の社会も近年急速に変化し続けているようです。
そんな状況の中、なんと新札が7月3日に発行されるそうで、お札のデザインを変えるのは2004年以来20年ぶりということです。相変わらず優秀な「新しいホログラム技術」を盛り込んだお札で、偽札造りも困ってしまうでしょう。一万円札に描かれるのは我が国の経済発展に寄与した渋沢栄一のようです。停滞気味の日本経済に喝を入れたいから渋沢さん?は少し考えすぎですか。
一万円札で一番鮮やかな思い出になっているのが「聖徳太子の一万円札」です。家庭の経済状況に余裕がない時に大学進学させてもらいましたが、合格発表後の春休み、遊びたくても小遣いがありません。一番近い親戚のおじさんがそっと一万円を手渡してくれました。「合格祝いだよ。お母さんには言わなくていいからね」と。聖徳太子の絵柄が輝いて見えました。
「デジタルキャッシュで贈っといたよ」が普通になる時代がやってきます。この先、お祝い金を手渡してくれるシーンなど、無くなってしまうのでしょうか。私も愛した手触りがもたらしてくれる幸せ感。キャッシュレスとともに変わっていく世の中だからこそ貴重です。愛すべき伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」の喉を流れるアナログな一杯。人生の機微のような幸せな味。